青色申告のメリットとデメリットとは?

青色申告とは?

納税者に日々の記録(帳簿)をつけさせることで、税制上の特典を与えるという制度です。

確定申告とは、自己申告です。

いくら収入があって、いくら経費がかかって、いくら儲けたのかは納税者本人しか分かりません。それだと国とすれば、正確に申告してくれるかちょっと不安なところです。そこで納税者に日々の記録(帳簿)をつけさせようとするのです。

帳簿をつけろと言っても、それだけでは納税者はやってくれるとはかぎりません。帳簿をつけてくれれば、税金上のメリットを与えているわけです。

きちんと帳簿をつけている人を一目で分かるように青色の申告書で提出することになっています(青色の申告書でない人は、通常の白い申告書なので、白色申告と呼びます)。

 

青色申告のメリット

青色申告のメリットについて代表的なものをあげてみました。

A. 10万円控除または65万円控除

青色申告にすれば、所得から10万円を控除してくれます。下記の要件を全てみたせば、10万円ではなく65万円の控除が受けられます。

(1) 事業として営んでいること
(大家さんであれば、事業的規模として5棟もしくは10室以上所有して賃貸していること)

(2) 複式簿記により記帳し、損益計算書とともに貸借対照表を確定申告書を添付すること
(市販されている会計ソフトで記帳していれば適用を受けられます)

ただし、10万円控除も65万控除も所得(プラス)の範囲内で控除できるので、所得がマイナスの場合には、控除ができません。

B. 青色事業専従者給与を払うことができる

同一生計(同じ屋根の下で生活しているなど家計が一緒になっているということ)の親族(15歳以上)にお給料を払って、それを経費にすることができます。

要件としては・・・

(1) 大家さんの場合は事業的規模(5棟10室以上)であること

(2) 半年以上その事業に専ら従事していること
(「専ら従事」なので、別の会社で働いているなどでは認められにくいです)

(3) 適用しようとする年の3/15までに税務署に届出をすること
(1/16以後新たに専従者を設ける場合などは、2ヶ月以内)

(4) 届出書に記載されている金額の範囲内で、実際に支払われたこと

(5) 支払われた金額が労務の対価として相当であること
(同業他社と比較してあくまでも常識的な範囲内でということです)

ちなみにこの届出をださずに、同一生計の親族に払ったお給料(アルバイト料など)は、一切経費にできませんのでご注意ください。

C. 少額減価償却資産の特例(平成24年3月31日まで)

1つの資産の購入金額が30万円未満のものについては、購入時に一括で経費にできるというのもの。ただし、年間総額が300万円までに限られます。

白色の場合は、10万円未満のものであれば一括経費にでき、
20万円未満のものであれば、毎年1/3づつ(3年間)の経費になり、
20万円超のものは固定資産として、耐用年数に応じて減価償却していきます。
(つまり、1年あたりの経費になる金額が少ないということ)

1つあたりの金額が30万未満かで判定していくので、上手に利用して節税が可能になります。

D. 純損失の繰越しと繰戻し

不動産所得(大家さんのもうけ)で損失(赤字)が出た場合には、翌年以後の所得(黒字)と相殺できます。ただし、繰越しできるのは3年間のみになります。

また、翌年以後黒字が見込めないのであれば、前年の所得と相殺して、前年に払った税金を戻してもらう(還付)もできます。

繰戻しできるのは前年のみです。

E. 更正の制限と更正の理由の付記

税務署から誤りを訂正される場合(更正)には、帳簿調査を行い、更正する理由を書面に書かないといけないということ。

逆に言うと、白色の場合には、帳簿があったとしても、帳簿の記載内容によらず推計により更正される可能性があります。(推計とは、例えば、一月の生活費がこれくらいだから、売上はこれくらいあるだろうということ)

 

青色申告のデメリット

青色申告のデメリットとしては、記帳の手間があります。

特に、65万円の控除を受けるためには会計ソフトで記帳する必要があるため、簿記の知識もある程度必要とされます。ただし、10万円の控除であれば、複式簿記でなく簡易な帳簿でよいため、入出金を預金通帳で行うようにすれば、それ程手間はかけなくてよくなります。

また、帳簿の保存義務が7年間あるので、つけた帳簿をきちんと保管する必要があります。

青色申告することで手間はかかりますが、記帳することでアパート経営の成績がわかり、どうすれば経営が上手くいくか考えることもできますので、これをデメリットと考えずに積極的に青色申告を活用することをオススメします。

コメントを残す